リニア中央新幹線ー立ち止まって検証すべき
「いつ開業できるのかわからない。コロナ禍で需要の見通しも怪しくなった。いったん工事を中断し、地元への説明や採算面の検証を優先すべきではないか」7月5日の朝日新聞の社説「リニア建設ー中断し説明と再検証を」はこのような書き出しで事業の是非についての再検討が必要ではないかとの考えが述べられています。
その理由として、「県域の工事に反対する静岡県知事の再選」「コロナ禍でウェブ会議が普及したことによる利用減で収益力が低下すると思われる」「新幹線の3倍の電気を消費するため、二酸化炭素の排出量を増やす」などを指摘しています。どれも、この間の社会経済状況の変化を考えると納得できるものです。特に昨年来のコロナ禍の中で、人々の働き方や暮らし方に対する考え方が大きく変わってきていることは事実です。また、国が掲げる脱炭素社会の実現に向けても逆行することになります。
相模原市はリニア中央新幹線誘致を核とする橋本・相模原周辺開発を広域交流拠点整備事業としてマスタープランに加え進めてきました。決算書からは2014年から2020年までに15億円が投入されたことになります。広域交流拠点整備事業費の総額はおよそ600億円ですから、昨年度までに40分の1が使われていることになります。今年度予算は4億5600万円ですから、今年度予定通り進むと、ざっくり30分の1となります。
いつ開業できるかわからないリニア中央新幹線関連の事業に多額の税金を投入し続けるより、いったん立ち止まって、コロナ禍で顕在化した課題に目を向け、必要なところに税金を使うことが求められます。
写真はいずれも2021年7月4日撮影