日本の「子どもの貧困」の現状を知る

「公益財団法人かながわ生き活き市民基金」主催の「子どもの貧困に立ち向かうキックオフフォーラム」に参加しました。「『子どもの貧困』全国ネットワーク」世話人の山野良一さんの基調講演と支援団体2団体からも報告があり、日本の「子どもの貧困」の現状や地域での取り組みを知ることができました。

民主党政権時の2009年に初めて相対的貧困率15.7%が公表され、当時子どもの貧困率は14.2%でした。OECD (経済開発協力機構)20カ国の中で4番目に子どもの貧困率が高く深刻な状況です。また、政府の所得再分配後の方が再分配前より貧困率が上がっているのはOECD16カ国の中で日本だけです。高等教育(大学・短大)については給付型奨学金制度の議論がやっと始まったばかりです。山野さんは、日本の「子どもの貧困問題」の特徴として、ワーキングプアの多さ、ひとり親家庭の貧困率の高さなどを挙げています。ひとり親世帯の貧困率は先進国の中で最も高いレベルです。

日本では、いまだに貧困は自己責任だという考え方が根強くあります。山野さんは、親が様々な理由で子育てがうまくいかなくなったときには、社会が援助するのが当たり前、子どもは分断されつつある社会に最も必要な存在であり「社会の子ども」であると結ばれました。会場からは、学校の果たす役割は重要だが、学校だけでは十分ではなく、地域での連携が必要であるとの意見も出されました。貧困の中にいる子どもや親を孤立させず、地域のつながりをつくることが必要です。貧困の複合的な要因に向き合い、地域の課題解決力を発揮するためにも、市民の連携や身近な自治体の役割が重要と感じました。