市民政策提案「身近な地域に多様な居場所をひろげるために」など3項目を提出

ネットさがみはらは、参加型福祉を基本とした福祉政策を進めるため他団体と連携し、相模原地域福祉ユニットの構成団体となっています。

10月25日、サービス提供やニーズ発信の現場から見えた課題を市民政策提案としてまとめ、相模原市長宛に提出しました。事前にメンバーが分担して担当課に市の現状などについて、ヒアリング調査をし提案をまとめました。当日は、保健福祉局長に提案書を手渡し、担当職員との意見交換を行いました。テーマは以下の3項目です。

1.身近な地域に多様な「居場所」をひろげるために

2.重度障がい者の在宅生活支援を充実させるために

3.安心できる在宅介護を進めるために

相模原市では、6月から空家に関する相談員派遣事業を開始し、空家バンクの登録につながっています。今後は、空家を地域資源として地域活性化や市民福祉の向上に活かしていくことが重要であり、ますます増加する空家を居場所に活用できるよう環境整備すべきであると提案しました。これに対し、市では「福祉コミュニティー形成事業」として数か所の居場所事業が実施されていることや、次期空家計画の策定準備を進めていることがわかりました。ユニットでは、現在実施されている居場所の見学や、空家計画への意見提出などを検討していきます。

重度障がい者の在宅生活支援の充実については、実際にヘルパーを派遣しているワーカーズ・コレクティブの問題意識からユニットメンバーで課題を共有したテーマです。難病で重度訪問介護ヘルパーを利用している当事者の事例から、ケアプラン作成やプラン見直し、サービス提供事業者との話し合いなどのフォロー体制の充実や人材確保のための研修の必要性、緊急時の対応などを提案しました。相模原市では、10月の台風19号で市内で多くの市民が避難する事態に見舞われたこともあり、緊急時対応については、市としても課題と認識しているとのことでした。フォロー体制についてもネットワーク体制づくりが必要であること、相談事業所が少なく十分利用されていないことなど、多くの課題があることがわかりました。今後も現状と課題を見守っていく必要があります。

現在、国では第8期介護保険事業に向けて制度見直しの議論が大詰めを迎えています。在宅介護で多くの高齢者が給付を受けている要介護1,2の生活援助と通所介護を保険給付からはずさないこと、ケアプラン作成を有料化しないことを、市民の声として国に届けるよう求めました。これに対し、市としては「現場の混乱を招かないように」と国に要望しているとのことでした。また、前回の見直しに続く地域支援事業への大幅な移行は「地域力がためされている」のだと担当課の職員。地域の力をつけることはもちろん必要ですが、国からの押し付けでやることではなく、保険で賄うべきものはきちんと給付すべきと考えます。

今回の政策提案活動では、提案した3つのテーマについての市の現状を知ることができ、新たな課題も見えてきました。これからも現場と連携し、政策提案につなげていきます。