飼料米で自給率向上

4月12日、福祉クラブ生協で取り組んでいる豚肉の生産者「平田牧場」の交流会にZoomで参加しました。

平田牧場では豚に与えるエサに飼料用米を30%配合しています。輸入トウモロコシよりも飼料用米の方が多いそうです。もちろん輸入トウモロコシはNON-GMO(遺伝子組み換えがされていない作物)、PHF(収穫後無農薬)のものです。その他大麦を20%配合、動物性蛋白質は使っていません。

飼料米を作るきっかけは、休耕田で米を作って飼料にしたらどうか、という組合員からの提案だそうです。1997年の取り組み当初は5%の配合率だったものが現在では1万トン以上の作付で配合率30%まで向上しています。

玄米を粉砕したものを他の原料と混ぜて豚に与えています。米を配合することでしっとりとした肉質になったということです。講師の平田牧場菅原さんは、「豚肉の脂に含まれるステアリン酸やオレイン酸は善玉コレステロール(HDL)を増やすと言われています。また、豚肉には糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が豊富で疲労回復に効果があります。いろいろな料理で楽しんでください。」と栄養面からも食べることの意義を話してくださいました。

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2019年度の日本の飼料自給率は25%で、いかに畜産飼料が輸入に頼っているかがわかります。2020年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画では、飼料自給率を反映した「食料自給率」とは別に飼料自給率を反映しない「食料国産率」が新たに位置づけられました。2019年の牛肉の食料自給率は11%、食料国産率は42%となります。この数字からも飼料の海外依存が顕著です。

農地保全、水田文化・景観保全、貯水涵養などの視点から、飼料用米の作付よる農地の確保は重要です。しかし、飼料用米の買い付け価格は食料用の4分の1と低いため、国からの補助金がなければ農家は採算がとれないのが現状です。

飼料用米は、不測の事態が起こり海外からの食料輸入が減少した場合、主食用に使うこともできます。食料安全保障の点からも、国は飼料用米の価値を認め、安心して飼料用米の作付ができるよう長期的な政策として増産目標などを示していくことが必要です。